1. コンテンツマーケティングにおけるコンテンツマッピングとは
コンテンツマッピングとは、
カスタマージャーニーマップの各段階に全てのコンテンツを結びつけ、戦略的にCVを達成するための道筋を視覚化していく作業のこと。この作業によって、カスタマージャーニーマップの各段階で、それぞれどんなコンテンツが必要であるかが示されたコンテンツマップが完成します。
コンテンツマップが完成すれば、限られたリソースの中で効率的に、適切なコンテンツ作りができるようになります。
コンテンツマップの中には、導線設計だけを目的に作られたものも数多く存在しますが、実際に潜在顧客をCVまで導くためには、導線設計のほかに、購買フローも併せて検討していく必要があります。そのため本記事では、双方の視点からコンテンツマップを完成させるためのワークフローとテンプレートをご提供していきます。
2. コンテンツマップを作成すべき3つの理由
2-1. 顧客を購買フローに誘導することができる
コンテンツマーケティングにとって最も重要なことは、潜在顧客を購買フローに誘導し、CVまで導くことです。
その役割を担うのが、コンテンツです。しかし、購買フローの各段階に対応したコンテンツが存在しなければ(もしくは機能していなければ)どうなるでしょうか。頂上への道が用意されていない登山のようなものです。
そうなってしまうことを回避するために、コンテンツマップを使って、有効なコンテンツプランを策定します。
2-2. 全てのコンテンツを把握した上で、効率的にコンテンツを追加・改善することができる
コンテンツマッピングを行うことによって、既存コンテンツを俯瞰的に把握し、評価することが可能になります。
コンテンツマーケティングを実施していると、「コンテンツを定期的に、数多く発信すべき」というノウハウを目にしたことがある人は多いでしょう。その指摘は間違いではありません。しかしコンテンツは、ただ多ければ多いほど良いというわけでもありません。やみくもにコンテンツを追加するだけでは、関連性の低い、目的を持たないコンテンツばかりが増えていくことにもなりかねません。
限られたリソースの中で、効率的に有効なコンテンツ制作を行うためには、まずは既存コンテンツの精査を行う必要があります。その上で優先度順に、不足しているコンテンツの追加や、既存コンテンツの見直しを行うことで、全体最適化がなされたコンテンツ提供が行えるのです。
2-3. チーム内での戦略共有と成果の振り返りが可能になる
コンテンツ制作を行う際は、チームで分担して行うことが多いのではないでしょうか。
しかし、個々の担当者がそれぞれに自分の得意分野のコンテンツを用意する方式では、一貫性のないコンテンツ群が出来上がってしまう恐れがあります。こちらの記事でも解説しましたが、コンテンツマーケティングを成功させるための重要なポイントは、一貫性のある有益なコンテンツを配信することです。
そのため、アジャイル的にコンテンツを作成し改善を繰り返すためには、コンテンツプランの共有が必須となります。
また、コンテンツマップが存在していれば、成果の振り返りの際にも、戦略立案当初の、各コンテンツの役割をベースに成果を測ることができます。
例えば、比較検討段階の顧客に向けて作成したコンテンツが、いくらSEOからの流入が多かったとしても、潜在顧客しか獲得できておらず、さらにCVへと導くことができていなければ、そのコンテンツは比較検討段階の顧客には全く響いていない可能性があります。そのコンテンツが持つ、本来の役割を果たせていなければ、ゴールへの道が閉ざされていることと同様です。
このように、コンテンツマップがあれば、購買フローに基づいた成果の振り返りと改善が可能になります。
3. コンテンツマップを作成する前に必要な準備とは
実際にコンテンツマッピングを行うためには、事前に決定しておくべき事項が3つ存在します。
こちらの記事でご紹介した「コンテンツマーケティング フレームワーク」の中で、
- 目標設定(KGI・KPI設定)
- ペルソナ設定
- カスタマージャーニーマップ 設定
の3点を事前に決定する必要があります。
これらの準備が整ったら、次章の手順を参考に早速コンテンツマップを作成していきましょう。
コンテンツマップ作成のためのテンプレートはこちらでご提供しております。
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4. コンテンツマップ作成のための5 STEP
4-1.<STEP1>カスタマージャーニーマップの各段階で、どのようなコンテンツが効果的かを検討する
まずは、カスタマージャーニーマップの各段階のユーザーがどのようなコンテンツを求めているかを検討し、定義していきます。例えば、購入を目的として、製品比較を行っている顧客に対しては、製品比較や無料トライアルコンテンツが必要でしょう。また購入後には、使い方ガイドやサポート用のチャットボットなどが求められることが多いでしょう。
このように、全ての段階ごとに、どんなコンテンツや機能が求められているか、あるべき姿を議論し、リストアップしていきます。ここでリストアップしたコンテンツは、カスタマージャーニーマップに追記をしておくと良いでしょう。
4-2.<STEP2>既存コンテンツの整理と分析(コンテンツリストの作成)
次に、全ての既存コンテンツをリスト化します。
その際に必要な項目は以下です。
- タイトル
- URL
- 更新日
- コンテンツ種類(ブログ・動画・メール・ホワイトペーパーなど)
- コンテンツ内容の分類(製品カテゴリやブログテーマなどで分類する)
- カスタマージャーニーの段階(潜在顧客向け・比較検討向けなど)
- CVポイント(問い合わせ完了・資料DL・購入など…中間CVを含むCVポイントを記載する)
- 現状のパフォーマンス(オーガニック流入数・月間セッション数・CV数など)
ここで作成したコンテンツリストは、随時更新し最新状態を保つようにしましょう。そうすることで、自社コンテンツ全てを網羅できるカタログとなるだけでなく、成果の振り返りの際にも役立てることができます。
4-3.<STEP3>既存コンテンツをカスタマージャーニーマップの各段階に分類していく
STEP2でリスト化した既存コンテンツを、カスタマージャーニーマップの段階ごとにマッピング(分類)していきます。その際のポイントは、現時点でコンテンツの質が低く、成果が出せていないものはマッピングの対象から外すことです。
マッピング対象から除外したコンテンツは、別途、改善が必要なコンテンツリストとしてメモをしておきましょう。
4-4. <STEP4>コンテンツギャップの特定
STEP1で定義したあるべき姿と、STEP3で分類した実際のコンテンツの状態を比較し、理想と現実のギャップを見つけていきます。
「カスタマージャーニーマップのすべての段階で、適切なコンテンツが整備されていますか?」
この点に注目しながら、新しく作成すべきコンテンツを見つけていきます。
また、新たに作成しなくても、既存コンテンツの中でうまく機能していないコンテンツを改善することでギャップを埋めることができる場合もあります。その場合は、「改善すべきポイントがどこか」を特定していきます。
4-5. <STEP5>ユーザー導線×カスタマージャーニーマップを視覚化する
最終的に、コンテンツマップを作成しますが、その際に対象となるコンテンツは以下です。
- 既存コンテンツ(パフォーマンスが良いもの)
- 既存コンテンツ(現状パフォーマンスが悪いが、改善ポイントが明確になったもの)
- 新規作成コンテンツ
既存コンテンツの中で、パフォーマンスが悪く、改善点が見つからなかったコンテンツに関しては対象外とします。
コンテンツマーケティングでは、「全ての購買フローをカバーすること」「CVまでの導線整備を行うこと」の両方が必要です。そのため、それらが視覚的に確認できる形でコンテンツマップを作成していきます。
コンテンツマップ作成のためのテンプレートはこちらでご提供しております。
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5. まとめ
冒頭でもお話ししましたが、コンテンツマップの作成は、コンテンツ戦略の肝となる重要なタスクです。
コンテンツマップは、顧客を理解し、効率的に有益なコンテンツを提供するために役立ちますが、「一度作成したら終わり」ではありません。顧客の求めるコンテンツは日々変化します。そのため、定期的にパフォーマンスのチェックと、カスタマージャーニーの中で各コンテンツが当初の目的通りに機能しているかどうかの振り返りが必要です。
コンテンツマップが完成したら、次はサイト構成の検討や内部リンク施策の検討が必要になります。これらの工程を経て、潜在顧客を教育し、見込み顧客に育成していくフローが完成します。その際のポイントは、1つ1つのコンテンツ内容だけに注目するのではなく、全体として最適化された構成になっているかどうかにも留意することです。
また、運用体制の確立も非常に重要なタスクです。コンテンツマーケティングは長期的な運用が前提となるため、外部リソースを利用することも含め、チームで無理のない運用体制を確立し、継続していくことが重要です。 その際にも、コンテンツマップやコンテンツリストがあることで、運用の指針になるはずです。
コンテンツマップ作成のためのテンプレートはこちらでご提供しております。
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