外国籍デザイナーインタビュー|トランス・コスモス transcosmos

外国人デザイナーにインタビュー
〜日本でデザイナーとして働く理由とは?〜 NEW

2021.12.14

デザイナー

多様化が進んでいる昨今、当社では外国籍メンバーの採用も積極的におこなっています。
今回インタビューに協力してくれたのは、カナダ出身のデザイナーゾイさん。 言語や文化の壁を乗り越え、日々日本人社員と変わりなく活躍する彼女のチャレンジングな姿勢は、周りのメンバーにもいい刺激を与えています。

このインタビューでは、母国カナダではなくここ日本で働く理由や、仕事をするうえで大切にしていること、今後のキャリアプランなどを語ってもらいます。

ゾイさんのインタビュー

就業者に占める管理職の女性割合(国際比較)-グラフ

これまでの職務経歴を簡単に教えてください

日本に来て初めての仕事は英会話の講師、その次に小学校で英語の先生をしていました。
その後、UI/UXデザイナー、グローバル広報、CEOのグローバルアシスタントとして採用され日本の企業で働き、今に至ります。

初めは英語を使った仕事をしていましたが、せっかく日本に来たのに、このまま外国人のコミュニティだけに身を任せていいのかと疑問を持ち、思い切って異業種へ挑戦してみようと決意しました。
その次に入社した日本企業では、もともと興味を持っていたデザイナーの仕事ができるチャンスをもらえたのですが、UI/UXデザイナー、グローバル広報、CEOのグローバルアシスタントの3つの業務があり、それぞれが忙しくUI/UXデザイナーの仕事に多くの時間を費やせませんでした。そのため、私が追求したいと感じたレベルの高いUI/UXデザインを提供するために必要なリソースが確保できず、日々悶々としていました。
そこで、本当に興味を持っているデザインの業務に専念したいと考え、トランスコスモスに入社することにしました。

IT業界、その中でもデザインに興味をもったきっかけは何ですか?

ゲーム会社を経営していた両親の影響もあり、大学時代からIT業界に興味を持ち始めました。将来、全世界がオンライン社会にシフトしていくと思いますし、今後もなくならないと考えられる安定した仕事でかつすごいスピードで成長している業界なので入りたいと思っていたのですが、具体的に何をやりたいのかはわからない状況でした。
そんな時に父が自分の会社でちょうどUI/UXのデザイナーを探していて、こんな仕事も選択肢としてあるよと紹介してくれたんです。それを聞いて一瞬でこれだ!と思いました。それが大きなきっかけになり、勉強を始めました。
UI/UXに惹かれた理由としては、実際にアプリなどを使っている時に、これ使いにくいなと思うことがたくさんあって、私だったらこうするのにと考えるのが好きだったということがあります。

父はデザイン、母はマーケティングの分野で今も活躍しています。
影響を与えてくれた2人と同じように、私がデザインしたプロダクトを使って、ユーザーに思い出に残る体験をしてもらいたいと思っています。

ゾイ-インタビュー2

日本で働く環境についてカナダとの違いはありますか?

ワークカルチャーにおいて、日本とカナダの間では小さな違いがたくさんあると思いますが、 大きな違いを感じるのは男女の格差です。日本ではまだまだ管理職には男性が多く、女性が少ないのがベースとなっています。 例として、実際にカナダでは2019年時点ではありますが、官僚の約半分が女性です(※1)。カナダでは夫婦どちらも働くのが一般的ですが、日本では専業主婦を希望する女性も多く、その辺りも関係しているように思います。ただ、IT業界では比較的女性でも活躍できるので嬉しいですね。

※日本女性が専業主婦を希望すると言う点は個人的な見解です。編集長としては、それ以外の問題を真剣に考えています。下記の図のように日本は海外と比べて就業者の女性の割合は遜色ないですが、下記の図の通り、管理職の女性割合はゾイさんがおっしゃるようにあきらかに少ないです。これは、日本と海外の文化的な違いなど含めて、複合的な大きな要素と課題が多数あります。日本の女性管理職が活躍できるようにするには、管理職の立場を与えるだけではなく、日本の女性が管理職をやりたいと思える環境作りをすることが大切だと編集長は考えます。

就業者に占める管理職の女性割合(国際比較)-グラフ 出典:「女性活躍の加速に向けて」P.4(内閣府) https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0310/shiryo_08.pdf

また、日本もそうですがカナダも人材不足で苦しんでいて、多くの企業がグローバル人材の力を借りるようになりました。
ただし、 カナダは、この問題に対しての解決が進んでいます。従業員を引きつけて、離職しないようにするため、高い給与と充実した福利厚生を提供しています。また、カナダは二重国籍を容認しており、永住権を取得しやすいという特徴があります。実際にカナダ政府の2021年から2023年の計画では、人口約1%(40万人以上)の割合の移住者を迎えることを目指しています。 2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で目標には達しない見込みで、それの不足分を補うため移住者を積極的に迎え入れようという計画です(※2)。
対して、日本はまだ十分でなく、業界をさらに発展させるためにカナダなどのIT先進国をモデルにする必要があると感じます。

ただ、日本の心遣いはとても素晴らしいです。常にお客様の要求に対してそれ以上のことを提供していると感じます。それに対し、カナダを含める他の多くの国では最低限の物しか提供していないように感じます。こういった日本ならではの細部へのこだわりが、多くの発展を生んでいると思います。

カナダの方が恵まれた環境に思えますが、なぜ日本で働こうと思ったのでしょうか?

中学生の頃から日本に興味があり、それ以来日本に住みたいと思っていました。アニメを観ているうちに日本語に興味を持つようになり、そこからドラマも観るうちに日本文化に興味が湧き、もっと色々なことを知りたいと思うようになりました。

そして17歳の時に初めて旅行で日本に来ましたが、実際に来日してみてもテレビを見て感じていた日本と変わりなく、やはり好きだと思いましたね。カナダに戻って日本語の勉強を本格的に始め、1年間日本に留学したのですが、帰国後は逆ホームシックになり、「日本に戻りたい」とまで思っていました(笑)。それくらい日本に運命を感じて、日本で働きたいと思い、挑戦したんです。

文化や言語が全く異なる国で働くことは簡単ではありませんが、良い挑戦だと考えています。今では、日本以外で暮らしていく自分が想像できないほどです。日本人より日本人らしいと言われることもあります(笑)。

ゾイ-インタビュー3

日本に実際に住んでみて良いギャップ、悪いギャップはありましたか?

良いギャップは、よく調べていたこともあり知っていたことでしたが、やはり安全性と清潔さがすごいと感じます。海外では外出先でお手洗いに行くのも躊躇われますが、日本はこんなに人も多いのにこんなにきれいな環境を保てているのが本当にすごいです。
17歳で日本に旅行に来た時、財布を渋谷のトイレに忘れてしまったことがあったのですが、何事もなく手元に戻ってきたのには本当に驚きました。

悪いギャップというか大変なのは、日本でマンションを借りる時に、礼金や管理手数料、保証会社手数料など色々なお金がかかる点です。外国人だと日本人の保証人をつけても保証会社をつけるように言われたりなど、結構ショックでした。
カナダであれば家賃を払うだけで事足りますが、日本は複雑ですね。

日本で仕事をする中でやりづらさなど感じた経験があれば教えてください。

デザインに関して、ユーザー全員がそのデザインを見て全く同じことを感じるとは限りません。 デザインは個人的な経験だけでなく、文化にも影響されます。そのため、私のデザインしたものが海外の人にはそのまま伝わって、日本では全く違う意味で伝わってしまったことがありました。 そのため、今はチームでのコミュニケーションを強化し、事前にイメージをすり合わせたうえでデザイン作成を進めるようにしています。

ただ、すり合わせの場で私ならではの新しい意見を提供することもできていると感じますし、素晴らしい学習体験ができています。

働くにあたって、大切にしていることは何ですか?

時間と品質の最良のバランスを常に考えるようにしています。
私は完璧主義者なので、デザインで少しでも気になるところを見つけると永遠と作業をしていまい、自分を止めるのが難しいことがあります。しかし、 割り当てられた時間内に最高のプロダクトを作るために、作業中に期限を意識して進捗を見ながら進めることが最も重要だと思っています。

ゾイ-インタビュー4

仕事が楽しいと感じるのはどんな時でしょうか?

トランスコスモスでは、さまざまなプロジェクトや業務に参加することができていて、退屈だと感じる瞬間がありません。自分自身チャレンジするのが大好きなので、デザインもそうですが、オフショア拠点(海外拠点)との間に立って英語でやりとりを行うブリッジディレクターを務めさせてもらえるのも素晴らしい経験になっています。

デザイン業務では、自分の想像力を使い形にしていくのが楽しいですし、ブリッジディレクターとしては、デザイナーだけでなく、コーダー、テスター、そしてその他のディレクターたちと仕事をするようになりました。それにより、それぞれのチームが他のチームに与えている影響と、各期限がプロジェクト全体にとってどのように重要であるかをさらに理解することができました。新しい知識を得ることはとても有意義で楽しいです。

日本のIT業界で働いてみて、グローバル視点でどんなところが課題と感じますか?

日本は伝統主義とモダニズムの意味で非常に分断された国です。ロボット工学、ゲーム、自動車などで目覚ましい進歩を遂げていますが、企業などの日常生活の中で遅れを感じることがあります。
日本で働いている外国人のほとんどは、日本がまだファックスを使用していることに非常に驚いています。カナダでは、すべてがデジタルであるため、私の世代は日本に来るまでファックスを使用することがありませんでした。これはIT業界だけに当てはまるわけではありませんが、会社の構造などを大きく変化させないままであれば、全体のビジネスに悪影響を与えると考えます。

カナダのIT業界はどのような特色がありますか?アメリカと近いこともあり、シリコンバレーのような街はあるのでしょうか?

カナダは人口が少なく、IT企業が多い国土の広い国です。ゲーム会社の子会社がカナダに来るため、政府が従業員の給与の最大40%を支払う税額控除を作成しました。そのおかげで、大企業と呼ばれる企業がモントリオールにやって来ました。 現在、モントリオールはAIでよく知られています。

トロント、ウォータールー、キッチナーがテクノロジートライアングルと呼ばれています。その中でもっともシリコンバレーに似たような街はウォータールーです。ウォータールーは、世界で2番目にスタートアップ企業の密度が高い地域です。

ゾイ-インタビュー5

カナダでは日本で働く人、働きたいと思っている人は多いですか?

カナダと比べると日本は働きすぎであり、給与が低く、まだまだ働きにくいという固定観念があります。また、日本語を覚えないといけないという壁もあります。イメージとしては、色々な国がある中で、英語ができる外国人にとって日本で働くということは、人生をゲームで例えるならば、最もレベルが高い難易度に設定するようなものです(笑)。それでも、私は日本で挑戦したいと考え、今も日本に魅力を感じて働き続けています。
しかし、現在では、日本に住む外国人YouTuberやTikTokerのおかげで日本の理解も進み、日本での生活にはさまざまな側面があることを理解する人が増えているように感じるため、もしかしたら、働きたいと思う人が増えるかもしれません。

日本でもダイバーシティ推進としてグローバル人材を採用する企業は増えていますが、日本企業で働いてみて、グローバル人材の受け入れ体制や福利厚生等の制度についてはどのように思いますか?

受け入れ制度に関しては、資料が日本語のものしかないなどの不便さがあります。理解に時間がかかってしまうので、英語版のものなどがあると良いなと感じます。また、 まだまだ外国人の受け入れ実績が少ないところも多く、特別扱いされることもあり、孤立することも結構あると感じていました。ほとんどの専門的な職業の外国人は日本語を話さないため、言語の面でもっと多くのサポートが必要だと感じますね。

日本の福利厚生などの待遇面は、他の国よりも優れていると思います。例えば、保険などのヘルスケアに関しては、アメリカより優れています。救急車をひとつ呼ぶにしても、海外ではお金がかかることもあります。そこが無料で利用でき、さらに保険で病院を安く利用できるのは日本の良い制度だと感じます。

ゾイ-インタビュー6

日本でこれをやれば成功しそうだというビジネスがあれば教えてください。

ロボット工学は日本でとても繁栄している分野だと思います。欧米ではAIは進んでいますが、ロボットに対する抵抗があり、この分野での進展は十分ではありません。

人の世話や厳しい状況での救出活動など、さまざまなことがロボット工学によって実現できると思います。これからますます多くの企業や個人がこれを認識すると思うため、すでに開発されたロボット工学分野で、日本はアドバンテージを持っていると思います。

これからも日本で働きたいと思いますか?

一生日本で過ごすつもりのため、仕事面とプライベート面でそれぞれライフプランを立てています。仕事もずっと続けたいと考えています。

日本では外国人であることには多くの課題があると思いますが、同時に短所よりも長所の方が多いと感じます。特に挑戦が好きな人なら長所が多いと思います。 この国に引っ越したことを後悔したことはなく、日々多くの新しい経験に出会い、成長しているような気がします。
デザイン以外の仕事も楽しめていて、日本で挑戦し続けるメリットを感じます。これからも企業とともに成長し、キャリアアップしていきたいですね。

今後、どのような仕事にチャレンジしていきたいですか?今後の抱負も教えてください。

私の目標はアートディレクターになることです。そのために、現在スキルセットを広げようと、とある大学のオンラインのデザインコースを受講し始めました。
また、さまざまなプロジェクトに参加し、その経験を通してヒントとコツを拾うために、全体のステップとフローについて学んでいます。

アートディレクターへの第一歩として、まずはサイトデザインを一から行う経験を増やしていきたいです。外国人だからこそ持っている感覚と、さまざまな言葉が話せる、理解できるという強みを生かして、チャレンジャーとしての気持ちを忘れずに仕事をしていきたいと思っています。

ゾイ-インタビュー7

まとめ

ご両親の影響でデザインの仕事に興味を持ったゾイさん。「デザインの仕事をやりたい」、「大好きな日本で暮らしたい」という2つの夢を見事に叶え両立させながら、チャレンジャーとして色々なことに進んで挑戦する姿勢に刺激をもらいました。

また、このインタビューを通して日本が抱えている課題も見えました。日本が大好きで、たくさんのことにチャレンジしたいと考えている外国人は多いはずです。そんな外国人たちが日本で今以上に活躍するためには、その課題を企業が少しずつでも解決していくしかありません。

特にIT業界においては、スキルもモチベーションも高い人材が海外に多くいます。多様性が求められている今、日本のIT技術を伸ばしていくためにも、外国人の採用がより必須となっていくはずです。
外国人メンバーと一緒に仕事ができたなら、私たちも今よりもさらに前向きに成長していけるのではないでしょうか。

他の事例を見る