子育て
働き方改革・ワークライフバランス・ワークライフインテグレーションなど、いろいろな言葉が飛び交う昨今では、働き方も個人によって選択できる時代に移り変わってきました。そのような時代の変化に伴い、 働き方を考える機会も昔より多くなり、また多種多様な働き方が実現できるようになってきています。
理想の働き方は人それぞれ異なるため、正解はないのかもしれません。ですがそれでも
「働きやすく・働きがいのある職場ってなんだろう」
と、誰しもが一度は考えることがあるのではないでしょうか。
今回は、人生の中でも大きなライフイベントである「育児」にフォーカスします。座談会では「在宅勤務で子どもとの時間が増えた!」との話も聞けましたが、どうして増えたの?良いことだけ?
トランスコスモスに勤め、現在在宅勤務中で子育てに奮闘する3人に、育児と仕事の関係や、育児をする上で幸せな職場について、話し合ってもらいました。
メールマガジン配信運用業務と、社内業務アシスタントを在宅勤務で行っています。子どもは小学1年生の女の子が1人います。フルタイム勤務の共働きで、子どもの祖父母は近所には住んでいないため、学童にお世話になっています。
Webディレクターとして、在宅勤務しています。制作物に関してお客さまとの調整や、スケジュール管理が主な業務です。
子どもは保育園に通っている3歳の長男と、昨年6月に産まれた長女の2人がいます。私はフルタイム勤務で共働きですが、妻が育休をとっているため、勤務中は妻が子どもをみてくれています。
Webディレクター、デザイナーとしてフルタイムで在宅勤務しています。サイトのデザイン制作、ディレクション業務とお客さま先のWeb運用業務を行っています。
子どもは小学5年生の長男と小学2年生の長女の2人がいます。
忙しい朝の時間ですが、在宅勤務以前は、私たち夫婦が出勤のために乗るバスが子どもの登校時間より早く、子どもを30分だけ朝の学童に預けなければなりませんでした。 在宅勤務のお陰で子どもを見送ってから業務を開始できるので、生活にゆとりができました。
在宅勤務により使える時間の自由度が高くなりました。在宅勤務がはじまる前は、仕事から帰ってきたら子どもはもう就寝しており、休日しか話す機会がありませんでしたが、在宅勤務となったことで、業務時間でも子どもが帰ってきたら「おかえり」と声をかけることができ、会話が増えたことがとても嬉しいです。
時間に余裕ができたと思います。出勤が必要だったころは、朝は慌ただしく、食事も子どもたちの見送りも丁寧にはできませんでしたが、在宅勤務になって時間の余裕ができました。 一緒に食事をとり「今日も頑張って行っておいで」と送り出せる余裕があることが、とてもありがたいですね。
メリットは、やっぱり子どもと過ごす時間が長くなることではないでしょうか。
言葉だけではなく、帰ってきたときの表情で楽しく過ごせたか、何かあったのかなどに気づきやすいです。
また、仕事が大変なときは、子どもがその様子をみて励ましの手紙などそっと手渡してくれるので、やる気も出ますね。人にもよると思いますが、私の場合、生産性も上がりました。
在宅勤務で業務を進めるには、自分の仕事を絶えず見える化し、同僚と連携をとる必要があります。この見える化の習慣がついたことで、次に何をすべきかがクリアになり、タスクを思い出す無駄な時間が減りました。
在宅勤務で、子どもに親の仕事の様子を見せられるのもメリットだと思います。
オフィスで仕事をしている場合なかなか仕事の内容を見せる機会がありませんので。
ただし私の仕事は、デザイナーさんなどと違って子どもには分かりづらいので、「会議で話すこと」が私の仕事と認識しているようです(笑)。
これは皆さん共通の意見だと思うのですが、デメリットは、打ち合わせや作業中に子どもに声をかけられると、仕事を中断しなければならないことです。
そうですね、お客さまと打ち合わせをしているとき気を遣うことがありますね。
仕事とプライベートのバランスですが、私はかつて、仕事とプライベートの時間は区切ったほうが精神的にラクだと思っていました。
ですが在宅勤務を経験するうちに、
生活の時間を中心に考え業務時間を調整することで、仕事とプライベートの両立がしやすく、トータルでみてストレスが少なくなったと感じています。
ワークライフインテグレーションは、仕事と生活を切り分けて考えず、柔軟に統合するということだと理解しています。多様な働き方ができるという意味で、推奨される考え方だと思います。
ただし、その代わり個々の能力や自己管理が重要です。そのためプロとしての自覚を持ち、スキルを絶えず磨いていく必要があるとも考えています。 私も時間を「ワーク」だけに集中できないからこそ、歯がゆい思いをしたことがあります。
ある案件で、グランドデザインの仕事を初めて担当することになりました。その後の進行における全ての方向性を決めるような、責任重大な仕事です。子育て中で、時間を仕事のためだけに使えない状況の中、自分のスキル不足もあり、最後までやりきることができなかったんです。
もちろん 「デザインは時間をかければ良いものができる」というわけではありません。 時間に制限がかかることで、効率を意識して仕事を進めるようになり、また進め方の抜本的な見直しがしやすくなるとも思っています。
ですが一方で、初めて経験するようなチャレンジングな仕事では、どうしても手探りで仕事をしなければいけない場合もあります。そしてそのような状況下で、「時間をかける」という手段がとれないことを、私はもどかしく感じました。
私は職場が遠かったため、生活と育児の時間を優先して一時は近所への転職を考えた時期もありました。ですが、在宅勤務もあり生活と仕事の時間をバランス良く考えられるようになり、離職せず仕事を続けられるようになりました。
ただし、和智さんも話してくださったように、 決して「ラクな働き方」ではないと思っています。自由には責任が伴う、と言いますか。 私もまだまだ自己管理能力が低く、時間をうまく使いこなせないことがあります。課題ですね。
社内メンバーとの出会いは仕事を続けていて良かったと思います。
育休中、一時仕事を離れましたが、当時は関わる人が極端に減っていました。少ないママ友数名と、病院や役所の人くらいです。心の窓は開いているのに、その窓の前を誰も通らない。そんな状態で、少し寂しかったのを覚えています。
ですが今では 仕事を通じてたくさんの人と関われ、さまざまな価値観に触れることができ、刺激をもらいながら楽しく暮らせています。
出産といえば、私は周りと比べて早くに出産したのですが、まず育休自体とれるのか心配でした。また当初はまだ経験が浅い中で、復職して時短でもできる仕事があるのか、育児との両立ができるだろうかと不安に思うこともありました。
ですが無事産休や育休を取得し、周りに助けてもらいながら、少しずつスキルアップしながら仕事を続けることができて良かったです。 これは環境が整っているからできることで、とても幸せなことだと思っています。
子どもが生まれてからは、全て子ども中心の生活に変わりましたが、結婚後早くに子どもができたこともあり、妻との付き合い方に大きな変化はありませんでした。
ただ、 子どもへの関わり方に関して、役割分担は意識するようになりましたね。 たとえば子どもを叱るときは、親の片方が叱り、もう片方は叱らないようにしています。妻のほうが憎まれ役となることが多く、「あなたは口を出さないで」と私も叱られることもあります(笑)。
子どもが生まれる前はお互いが向き合っていれば成り立っていた関係でしたが、子どもが生まれてからは育児への考え方、方向性の違いで揉めることが増えました。
いろいろ迷走しながら、今ではできないことを咎めたり、自分と異なる考え方を頭ごなしに否定したりするのではなく、 違いを認め、至らない点は素直に謝り、してくれたことに感謝するようになりました。 「ありがとう」と「ごめんなさい」を言葉にする機会が増えたように思います。
日々楽しく笑顔で過ごし、愛情を伝えてあげることを意識しています。
私の子どもは2人とも小学生ですが、 中学生になったら部活や友人と過ごす時間が多くなり家族の時間も少なくなるのかと。 そう思うと、今のうちに一緒にお出かけしたり、旅行に行ったりして、たくさん思い出をつくりたいと思っています。
あとは、毎日学校へ行くときにエレベーターまで一緒に歩いたり、寝る前に本を読んであげたり、そういう小さな習慣を大切にしてあげたいです。
一般論に縛られることなく、目の前の本人と向き合うようにしています。
たとえば「睡眠時間が少ない」「体重が平均より軽い」と言われても、子どもの様子をみれば目覚めもよく健康的なので、「これがこの子のリズムなのだな」と思い、無理に昼寝させたり、食事の量を増やしたりなどはしませんでした。
また、私自身、完璧な親からは程遠く未熟な人間なのです。だから、 怒りすぎてしまったときはその日のうちに子どもと向き合い、伝えたかったことを冷静に伝えなおす など、自分の正直な気持ちを自分の言葉で伝えられるよう、子どもも私も練習中です。
親子でお互い我慢をするのではなく、相手を信じ、自分の気持ちやしてほしいことを伝えあえる関係をつくろうとしています。
そのような関係の根底にあるのは、お互いへの信頼と愛情です。だから 「私はどんなときでもあなたの味方だよ、あなたのことが大好きだよ」と、言葉と行動で示していきたい と思っています。
子どもが何に興味を持つかわかりませんので、できるだけ「機会」を増やしてあげたいと思っています。
また、 子どもが集中するもの、ハマっているものは、好きなだけ楽しめばよい かなと考えています。
たとえば3歳の長男はYouTubeでおもちゃの動画を見るのに夢中になっているのですが、好きなだけ見ていいかなと。海外の動画を含めさまざまな動画を見ることで、その先に何かみつかるものがあると思うんです。
ただ就寝時間になっても止めたくないと駄々をこねるので、あわせてメリハリを教えることも必要なのですが……(笑)。
天気の良い日は家族で近場に出かけたり、公園に遊びに行ったりします。最近は大きめのすべり台で滑れるようになって、息子は喜んでいます。
あと小学生の甥がいるので、都合がつけば子ども同士で遊ばせています。甥に影響されて、自分の呼び方を「僕」から「俺」に変えたりして、微笑ましいですね。
私たちも公園に遊びに行きます。ワンタッチテントやテーブル、そして遊び道具を車に詰め込み、朝から大きな公園へ行ってデイキャンプをしています。
私自身も体を動かすのが好きなので、子どもたちとバドミントンをしたり。 仕事も遊びも全力で取り組みます。大人って楽しそうだなと思ってもらえたら嬉しいですね。
普段は買い物などの大人の用事につき合わせることが多いので、休みの日は外遊びやテレビゲームなど、その日に子どもがしたいことを少なくとも一つは叶えられるように過ごします。
最近は子どもと一緒に小学校へ行き、校庭でよく遊びます。 鉄棒や縄跳びなど、体育でできるようになって嬉しかったことを楽しそうに披露してくれるんです。
暖かい季節では公園で簡易テントを開いてお弁当を食べたり、夏は海や山へ行ったり、楽しい思い出がたくさんできるように過ごしています。
思っていたより、子どもを一人前に育てることへの使命感がわきました。そのため、仕事を頑張らないと、という気持ちもより一層増しましたね。
あと子どもの世話をする中で、 教育やアパレルなど、子どもに関する業界にも強い興味を持つようになりました。 インプットの幅が広がったことは、仕事にも活きてくると考えています。
私も新井さんと似ていまして、親としてしっかりした背中を見せねば、という責任感が出ました。また、子どもに癒やしてもらえるからこそ、仕事を頑張れることも大いにあります。
何より子どもの存在が、私の生きる糧になっています。
仕事でも遊びでも全力で楽しみ、取り組んでいる姿を見てほしいです。子どもたちには、自分の好きな道を進んだ上で、いつかは人の役に立つ仕事をしてほしいですね。
私自身がいろいろ失敗することも多いのですが、
ちょっと失敗してもいいんだよ、大丈夫だよ、というのを、私の姿を通じて学んでもらえればと(笑)。
失敗してもいいから、自分の意志で選択して、後悔なく楽しく生きていってほしいですね。
私自身が何かをクリエイトすることが好きなので、ゼロから新しいものを生み出せる人になってくれると嬉しいです。
ただあくまで私の希望ですので、子どもには自分の興味あることを、突き詰めてくれたらよいと思っています。
育児に関しては、「完璧にできないのが当たり前」という気持ちでいることだと思います。
「平日に忙しくて子どもとの時間をあまりとれなかったら、その分休日はたくさん遊んであげよう!」のような。トータルでみてカバーできていればよいと思えば気持ちもラクになります。
そうですよね。仕事でも育児でも大事なのは、 一人で抱え込まないことです。自分でできないことや苦手なことは誰かに相談し、分担して協力しあう。 これに尽きると思います。
はい。あとは子どもが小学生になると、自分でできることが増えてきて、家の仕事を任せられるようになります。これがすごく助かっています。 最近では、息子が家庭科で学んだ料理を作ってくれるようになりました。
小さいころからお手伝いを習慣化させるのは、家事の負担を減らすコツかもしれません。
おお!すごい!おいしそうですねぇ!!
保育園から呼び出しがあったときは、妻が迎えに行ってくれています。ですが
今後妻が復職したら、在宅勤務の私が迎えに行くことが増えるかもしれません。
休憩時間をズラすなど、なるべく業務で迷惑がかからないよう調整がとれればと考えていますが、繁忙期などは妻と相談し対応したいと思っています。
急を要し、短時間で解決できないときは、申し訳ないですがチームメンバーに仕事内容を引き継ぎ、半休をとります。
どうしても抜けられない重要な仕事があるときには、子どもたちの世話を祖父母にお願いし、仕事を優先することもあります。
子どもが保育園に通っていたころの急病は、当時時短勤務で出社していた私が帰宅して対応していました。
当時私が担当していた運用業務は毎日のタスクが決まっていたので、他のチームメンバーにフォローしてもらいやすかった んです。当時のチームメンバーには本当に感謝しています。子どもが小学生になった今、急な対応が求められることはそれほどありません。
たまに急な対応が発生した場合でも、在宅勤務の今は昼休み時間を調整できることが多く、休みをとったりチームメンバーへ迷惑をかけたりすることなく対応できています。
まずは働きやすさが必要だと思っています。産休や育休のとりやすい雰囲気や周囲の理解に加え、在宅勤務や時短勤務など、柔軟な働き方が選択しやすい勤務体系。バックアップを頼める人員的な余裕などです。
家に仕事部屋がない人用に、最寄りのコワーキングスペースを使えるようにする、といった制度も有効でしょう。
トランスコスモスはバックアップ体制が厚く、産休や育休に理解がある職場です。妊娠したときも 「忙しいのに困る」といった声はまったく上がらず、「おめでとう!お休み取って大丈夫ですよ」という雰囲気で、とても嬉しかったです。
コワーキングスペースに関しても、会社で全国500箇所程で利用できるサービスが用意されていますので、私も気分を変えて仕事をしたいときに使っています。
一口に「子どもがいる家庭」と言っても、この座談会で話があったように、さまざまなタイプがあると思います。
そのため、個々の家庭事情をチーム内で共有し、サポートしあえるようにすることで、急な対応も、お互い気兼ねなく業務の調整がとれる環境にできると思います。ただ、マネジメントのハードルは上がりますね……。
あとは、 当社の制作部署ではまだ実現できていませんが、フレックスタイム勤務の導入なども、働きやすさや働きがいにつながると思います。
ともすれば「子育て中の人は、子育てをしていないメンバーに負荷をかけてよい」と考えてしまいがちですよね。考え方は人それぞれですが、私はその考え方は危険だと思っています。
子育てをしていないメンバーにも、人生があります。勤務時間以外にやりたいことや、やらなければいけないことがあります。さらにいうと、勤務時間以外にやることがあろうとなかろうと、負荷をかけていい理由にはなりません。
たとえば、以前は有給休暇を取得するときに理由も必ず説明し、理由に納得がいかなければ休暇がとれない、なんてことが一般的だったそうです。ですが今では、有給休暇の取得理由を聞くこと自体が非常識だというコンセンサスが得られてきました。
だから同様に、 「子育て中だから有給休暇を優先的にとれる」「子育て中の人を子育てしていない人がカバーする」という考え方も、本来的には間違いだと思うんです。 理想は「誰もが理由に関わらず有給休暇をとれる」状態ですので。
ワークライフインテグレーションの本質とは、「ライフ」の内容に関して、重みづけを会社や他人がすることなく、誰もがお互いの「ライフ」を尊重しあえている状態だと思います。
ただし現実的には、申し訳ないですが子育てをしていないメンバーに負荷をかけてしまうことが多いかもしれません。ですがその際は、 感謝の気持ちとあわせて、「いつかこの恩は必ず返す」「誰かが困っているときは自分が助ける」 といった思いが少なくとも必要だと考えています。
10年後もトランスコスモスで働いていたいと思っています。子育てでは、子どもの成長を優しく見守っていたいです。子どもがかわいくてしょうがないので(笑)。
デザイン、ディレクション以外にもできることを増やしていきたいです。たとえば事業所責任者を経験するなどですね。将来的には、 フリーランスとして働くことや、リモートワークで住む場所を変えながら働くことにも憧れがあります。
実はトランスコスモスに入る前に、フリーのエンジニアさんに「一緒に会社をやらないか」と誘われたのですが、当時は起業するまでの自信はありませんでした。そのためいつか起業にチャレンジしたいという気持ちがあります。
このことを上司に話したのですが、
「会社としても社内起業や、もしくは社外に出て起業にチャレンジする人を応援したほうが良いと思っている」との言葉をもらいました。
ただ、トランスコスモスで力を発揮したいとも思っていますので、しばらくは今の仕事を通じ、引き続き勉強させてもらいながら、新たな事業づくりにも関わっていければと考えています。
子育てでは、子どもたちと一緒にいろいろなところに行きたいなと思っています。私も親に連れて行ってもらったことがきっかけでキャンプが好きになったので、同じようにたくさんの経験をさせてあげたいですね。
新型コロナウイルス感染症の流行を機に、完全在宅勤務にシフトしたトランスコスモス デジタルエクスペリエンス本部。その業務スタイルでは、仕事と生活とが統合されたワークライフインテグレーションが実現しつつあります。
また、トランスコスモスでは子育てに理解があり、人材も豊富であるため育児がしやすい環境だと言えます。
一方今回の座談会を経て、 ワークライフインテグレーションの実現には、子育て世代だけではない全ての人の「ライフ」の尊重が重要であることが語られました。
メンバー同士で尊重し助け合いながら、誰もが働きやすく働きがいのある会社をつくる。そんな挑戦は、これからも続きます。